季節は春。
街の街路樹や、林に森に、緑色の命が萌え立つ清々しい季節がやってきました。
そんな優しい季節に、晩秋の森に思いを馳せてこの記事を書いている天邪鬼な私ですが、どのみち季節とは、何かを忘れ、また何かを思い出すためにあるようなものだと思っています。
紅葉が終わり、眠りにつく直前の、静かな森にひっそりと足を運ぶのが好きです。そこには一夏の命が通り過ぎた後の寂しさと、そのすぐ隣に不思議な安堵感がある。そして生命と死、現世と常世のはざまを往来する魔的な存在の気配を、枯れた森の奥深くや、仄暗い泉の底の方から感じます。
いつか自分もその深みに連れ去られてしまうかもしれない。でもそこには恐怖だけでなく、憧れや、安堵感、そして懐かしさすら感じる。おそらくそれは誰の心の中にもある感情ではないでしょうか。でもだからこそ人は、誰かと一緒にいたり、話をしたり、手を握っていなければならないのかもしれません。